ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気の概略

 ALS(筋萎縮性側索硬化症:きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の概略です。
A」はアミオトロフィック(Amyotrophic)の略で筋肉が縮むこと(筋萎縮)を云い、 一般にこの病気がアミトロと呼ばれるのはここから来ています。
L」はラテラール(Lateral)の略で側部を意味し、 脳から下りてくる上位ニューロンの束(錐体路)が脊髄の左右の側面(側索という場所)を通ることから来ています。 つまり側索は、脳から脊髄に運動をするようにという命令が下りてくる通り道のことなのです。
S」はスクレローシス(Screlosis)の略で壊れたあとが硬くなって働かなくなってしまうという意味です。

 したがって、ALSは筋肉自身の病気ではないし、手足に行っている細かい神経の病気でもありません。 主に脊髄と脳の運動神経が変性し、脱落するために起こるものです。 その結果、手が握れなくなる、舌がしわしわになって呂律が回りにくい、飲み込みにくい、立ち上がりにくい、 歩きにくいなどという症状から始まり、徐々に手足が痩せていくことになります。

 一般的には、はじめに手足が動きにくくなるタイプと、しゃべったり飲み込んだりという、 口の中が先に動かなくなるタイプとがあります。手足から先に動きにくくなる場合が4分の3くらい、 4分の1くらいの方は口から始まります。最終的には手足と口の両方に障害が進みます。

 症状の典型的なパターンとしては、どちらかの足の力がだんだん弱くなってきて、反対側の足に広がり、 次に手の力がなくなってくるというものと、手から始まって徐々に足に広がるものがあります。 しかも手足では、からだから遠い部位の筋肉の力がまず弱くなってきて痩せて来ます。 そして、そのうちに食物を飲み込みにくくなってくる、しゃべりにくくなってくる、という症状が出てきて、 からだ全体の筋肉の力が2-4年くらいで弱くなるために息苦しさを感じるようになります。 さらに進行すると、呼吸が困難になり、人工呼吸器をつけるというのが一般的な経過です。 また、手足の力がなくなるのと同時くらいに言語障害、飲み込みが悪くなるという場合もあります。

 ALSは全身が動きにくくなる病気ですが、出にくい症状というものが6つほどあります。 そのうち4つを4大陰性徴候といいます。筋肉の問題では、手足やからだ・顔が全く動かなくなっても 目を動かす筋肉が最終的にある程度は残ることが挙げられます。 また、尿道や肛門をキュッと締める括約筋も筋肉ですが障害は受けにくいのです。 すなわち尿や便が勝手にもれて、垂れ流しにはなりにくいということです。 動き以外では、知覚障害・感覚障害が起こりにくいことが挙げられます。 すなわち見たり聴いたり、あるいは冷たさや痛さなどを感じる感覚は最後まで残ります。 ですから自分では動けないけれども全て周囲の状況が分かってしまうということで精神的なストレスは大きくなります。 ただ、徐々に寝たきりになって行きますが、いわゆる“床ずれ”が出来にくいという特徴もあります。

 ALSの推定人数は、今のところ日本で大体6,000名から7,000名くらい、難病登録をしている患者さんの数は、 平成16年度末のデータでは7,000名くらいと言われています。発症年齢は平均59歳、 男性の方が1.5倍くらいの割りで多いという統計が出ています。

(日本ALS協会HPに掲載されいる浜松医科大学第一内科 宮嶋裕明先生のお話から抜粋)